初心を忘れそうだから
研修医として働き始めて一年が経って、充実はしているけれども、忙しかったりしんどかったりで、初心を忘れそうになることがあります。
『一人でも悲しむ人を少なくしたい』
これが医学部を受験した理由、私の初心です。
私の祖父は肝臓癌で亡くなりました。亡くなる前日、死期を悟ったのか、祖父は絶対に目を閉じようとしませんでした。その表情は、高校生だった私に深い傷を遺していきました。
おかげで病院に恐怖心を抱いた私は、その後2年ほど回り道をしてしまうのですが、再度医師を目指した時には、祖父のような人を二度と見てたまるかという強い思いを抱いていました。
今でも思いは変わりません。ただ、祖父のように壮絶な最期を迎える方は少なくない事を知り、眠るように亡くなっても家族にはやはり傷を残す事を知り、私の初心がいかに無謀だったかに気が付きました。
どれだけ頑張って治療をして、どれだけ考えても、結局最後に人は死に、同じだけの数の人が悲しむのです。何をしても結果は変わらないんじゃないかと、投げやりな考えがちらつくことが増えてきました。
なので、このブログに、初心を思い出させてくれる素敵な出来事を書いていこうと思います。
いつか本当に私が荒れてしまった日に、素敵な記憶を思い出して踏みとどまれるように。